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呪われた夜 One Of These Nights その2

読みもの

■ 前回のお話

呪われた夜 One Of These Nights
時はバブル期  日本の景気=サイコー 僕=最悪の時代  会社(社会)になじめず、女の人ともすっかり縁遠くなってしまっていた。 女性も職場には居るけれど、ここでは男女間を支配している原理が根本的に違うみたいで異次元に迷い込んでしまったみたいだ

 

 

 

新しい職場で、つぶらな瞳の彼女にちょっとだけ恋心してしまった新入社員の僕。

けれども・・ほぼすれちがいの業務優先の日常では彼女の事を知るすべがない。

見かけだけでなく、彼女の内面を知りたいなと思っていた矢先に、職場の先輩女子3人と僕ひとりでの計4人の会食の機会なるものが訪れた。

本人も混じっていればチャンスと呼ぶべきだろうけれど、ここはまぁ、少しでも彼女の事を知れれば聞き出せればという、チャンスのまたチャンス。

この会社の少ない女子社員のことだから横のつながりがあろうと、目論んでのこと。

さて会食の当日は定時退社のとある水曜日。

勤務超過の対策として、週なかの水曜にこんな日がもうけられていて、残業をするには特別な申請が必要だった。 アフター5にはもってこいの日。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

クルマを出すのは僕の役目なので、その日はいつものバイクでなくクルマで出社した。

自分のクルマは二人しか乗れないので、実家のプレリュードを使わせてもらうことにした。

クーペで2ドアの低く構えたフォルムは実用性には乏しいけれど、その見た目と運転を楽しむという事にかけては、クルマのひとつの到達点とも言えるもので、

「スペシャリティカー」または「デートカー」

などと形容されるのもうなずける。

濃紺のメタリック塗装はまだまだ艶を失ってはいない。

この助手席に彼女だけを・・・そんな妄想がふとよぎる。

見た目カッコよく、足回りも奢った乗り心地の良い、伊達男的なこのクルマはデートにはいいんだけれど、四人乗るにはちょっと狭い。

基本的にはひとりかふたりで楽しむ為のもので、後席は大人はちょっとキビしい。

現実的には、助手席に年長の先輩女子に座ってもらい、あとの二人はちょっと窮屈だけれど後ろで我慢していただこう。

 

 

 

 

 

 

 


 

さて、クルマはとりあえずオーケーとしてあとは音。

いい空間、いいムード造りには音楽が欠かせない。

当日、カーオーディオに入れたのは「ベスト・オブ・イーグルス」で洋楽に目覚めた僕が、その時ツボに来ていたのがイーグルスだったというだけの事。

イーグルスのほかのアルバムでも良かったんだけれど・・みんな乗って聞くわけだし・・・ここはおいしい所取りのベスト版にて妥協点。

「テイク・イット・イージー」と「ホテル・カリフォルニア」とかの有名どころも入っているので、これくらいはイーグルスの名前を知らなくても聞いた事があるでしょうとの思い。

日本の音楽なんかアウトオブ眼中てな感じで、洋モノばかりに眼が向いてた若かりし頃。

 

 

 

 

 

 


 

ふだんの日よりも、そそくさと業務を片付け、男女4人クルマに乗り込む。

目指すはここから30分位で行ける隣の市の平塚の海の近くにある

「草履のとんかつ」

っていうのは、正式なお店の名前ではないけれど、ここの常連の僕がそう呼んでいるだけで、ここのトンカツはボリュームが半端ではなく見た目がもう、ゾウリそのもの。

あと特筆としては、おかわり自由のシャキシャキの超細かい千切りキャベツと、自家製の特別なソース。

まぁ、食のすすむ事ったらなく・・・大食い選手権なみに、お腹の限界をテイク・イット・トゥ・ザ・リミットしてでも、つい食べ進んでしまう。

そして、いつも満腹で満ちたりてお腹に手をやりながら店を出るので、のれんを顔でかきわけて出なければならないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

店を出ると満月がちょうどいい高さで輝いていた。

先輩女子3人にはちょっとボリューミーかと思ったけれども、意外と苦しそうな表情は誰にもなくて、みんな草履のトンカツに満足の様子。

職場をはなれ、おいしいものをみんなでおしゃべりしながら楽しく頂いて・・こんな一時を過ごせ、先輩との距離がすこし縮まって、ちょっとだけ働きやすくなった様な気がしていた。

さて、先輩女子3人は電車通勤なので会社近くの駅まで送っていかなくてはいけない。

帰りの車内は、行きよりも和やかなムードになり、前後をはさんで会話が盛りあがる。

運転の僕はどちらかというと女子3人の聞き役。

大きな国道の赤信号で停止されられる。 ここはとくに待ち時間の長い事で知られた交差点。

ふと音楽が途切れ、オートリバースでカセットテープはB面に変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

「そういえばさぁ、xxxx」

話題が隣の課のあの子のことになった。

耳ダンボ・・・全身が耳になるけれどさりげなく振舞う。

知らぬが仏と言うけれど、無知は罪とのことばもあり、どちらが正しいのか今の僕にはわからない。

そして「呪われた夜」のおどろおどろしいイントロが流れ出す。

 

 

 

次回話につづきます

 

 

 

 

 

■ 前回のお話

呪われた夜 One Of These Nights
時はバブル期  日本の景気=サイコー 僕=最悪の時代  会社(社会)になじめず、女の人ともすっかり縁遠くなってしまっていた。 女性も職場には居るけれど、ここでは男女間を支配している原理が根本的に違うみたいで異次元に迷い込んでしまったみたいだ

 

 

 

 

 

 

 

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・テイク・イット・イージー (1972年)

・テイク・イット・トゥ・ザ・リミット (1975年)

・呪われた夜 One of These Nights (1975年)

・ホテル・カリフォルニア Hotel California (1976年)

 

 

 

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