雲と追いかけっこを 1986 パート2

コラムと読みもの

列車はいつのまにか早朝の東京駅に到着していた。

直立のボックスシートではとても寝れたものではないけれど、それでも疲れのせいか、いつのまにか眠りに落ちてしまっていたみたいだ。

降りたプラットホームには連日の熱帯夜のよどんだ空気がへばりついていて、朝のさわやかさには程遠い。

ぼくたち4人おなじように、むくんだ顔に疲れた顔で、こちらも負けず劣らず、寝起きのよどんだ表情。

しばしホームのベンチにたたずみ、それぞれにどこを見るとでもなく、何をするわけでもなかった。

かなりしばらくのあいだベンチで休んでから、大きな荷物をかかえて物憂くようやく歩き出す。

ぼくと彼女は例の二人を少しからかいながら見送って、そのあと東京駅の地下ホームへの長い道をたどった。

総武本線に乗って内房方面へと向かう。 房総のはての海まで行ってみようというのだ。

口実は、今回の旅で青春18きっぷを使用したのだけれど、このまま帰ってしまってはもったいないから。

目的があったわけじゃない。

ただただ自由な1日があって、きっぷがあって、相手がいただけの事。

彼女の事は特に女としては意識はしていなかった。

あくまでも仲間のひとりで、かわいい娘(こ)とは思っていたけども、彼女にしたいとかそういうのはぜんぜんなかった。

ぼくと彼女は電車に乗り込み、またもや国鉄フォーミュラのボックス席だけれど、こんどはたがいちがいの向かい合わせに腰をおろした。

早朝の車内はガラガラだ。

ただひとつ、わからないことがあって、彼女とは、もう丸二日ほども行動をともにしていて、二人とも風呂にもシャワーにも入っていないはずなのに、彼女だけはふしぎないい香りが変わらずにしていたのだ。

謎だった。

東京駅の地下ホームから出発した電車はいつのまにか地上にでていたけど、窓の外の天気はあまりよくない。

113系はモーターのうなり音をあげ、曇天の夏の早朝の中、東へと驀進していく。

 

パート2 おしまい

 

 

■ 次回話 ・パート3

雲と追いかけっこを 1986 パート3: ライフスタイル・ファクトリーズ
  高校生活最後の夏休みに、合宿を終えて、夜行列車で帰ってきた男女4人。 東京駅で解散したあと、ぼくと彼女だけ、房総半島に向かう。 ■ 前回話  ・雲と追いかけっこを 1986 パート2 ぼくと彼女は、長旅の疲れもあっていつの間にか、電車に揺られるうちに二人ともけっこう深く寝てしまったようで

 

 

追記

彼女の不思議ないい香りの謎がとけたのはオーストラリアに行った時

当時、日本ではまずお目にかかれないとある化粧品のメーカーのシャンプーがまさしくこの香りで8年ごしに嗅覚がブッ飛んだのであった

 

 

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オーストラリア
ハワイ経由で、念願のオーストラリア着 ホームステイしながらサーフィン中心の生活をめざします 初送迎で車中からとてもいい波見えてきたけど・・なんか凄く大きくてヤバくない?? 英語も語学学校に通い勉強します!!