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ショート・ストーリー 『 ひとすじあざやかに輝きおちる 』 3

読みもの

 

『ひとすじあざやかに輝きおちる』ショート・ストーリー

 

クルマ大好きな父と、よく性格の似た姉がいる、ぼくの家族。

ぼくは父や姉と違って、クルマやメカには弱い。

母が五年前に突然、事故で亡くなってしまい、姉も時期を同じくして海外へ行ってしまった。 残された父とぼく、そして姉のクルマ。姉のクルマを仕方なくぼくが受け継ぎ、父も、母と同い年くらいの古いeタイプを手に入れてきて、一緒に面倒を見つづけた。

こんど、久しぶりに姉が帰国することになったので、空港へ姉のハチロクで、オヤジと迎えに行くことに。

 

 

 

『ひとすじあざやかに輝きおちる』前回話

 

ショート・ストーリー 『 ひとすじあざやかに輝きおちる 』 2
2台の古いクルマと、それをとりまく家族の物語  実家でジャガーeタイプを熱中症レベルで磨き続ける父  いまはここにいない母と姉  ぼくは姉の残して行ったハチロクをあの日のままキレイに保っている  どうやら、お姉ちゃんから連絡があったらしい・・・

 


 

空港へはオヤジが運転する。 根っから好きなんだな。

若い頃は、何の運転手かしらないけれど、色々やっていたらしく、荷物を運んでいたのか、人を運んでいたのか、空気をただ早く運ぶことを競っていたのか、雨が降ろうが槍が降ろうが走っていたらしい。

槍は降らないにしても・・雪の日なんか、すべっちゃって大変だろうなと、運転のあまり得意でないぼくは思う。

 

 

 

 

 

 

 

・TRD本革シフトノブ 86(ZN6) マニュアル用 MS204-18001


 

クルマだけでなく、バイクにもうるさく、バイク屋でも働いてたことがあるというオヤジは、いまは小さいが自分の会社をもっているけれど、いろいろと若い頃はあって、苦労をしたみたいだ。

外国にも長いこと行ってしまってたとか、そういえば昔、母が言っていたなぁ。
だから姉ちゃんもそうなのか。

「働いてたバイク屋でな、教わったのは、中古のヤツを納車前に、プシュっとひと吹きスプレーして、一応見た目は光るようにして仕上げるんだけれど、これがまぁにわか仕上がりでな、ひと雨降りゃイチコロよ」

「数だけ売りゃいいってヒドイ店だったな、学んだ事もおおかったけど」

「やっぱりキチンとワックスかけねえとな」

空港への道中、ぼそっと繰り出される、オヤジのそんな話を聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・シュアラスター マンハッタンゴールド [最上級カルナバ蝋] SurLuster M-03


 

道中、雨はよく降り続き、助手席のぼくからは、ワックスのよおく効いたボンネットに、水玉がたくさん弾かれているさまが見てとれる。

じゅうぶんに表面張力を得て、浮きあがったその水の玉たちが、オヤジの手馴れた運転のやさしいGによって、さまざまな方向に踊ったり、そして落ちていく様子がなかなか面白い。

レインダンスとはよくいったもの。 自分の運転じゃ、これを見る余裕はなかったな。

じつは昨日、実家に行く前にちゃんと洗車は済ませておいてある。
こんな雨の日は晴れているときよりも、よく洗車が行き届いているかがわかってしまう。 ごまかしがきかないんだ。

本当にしっかりと磨けてないと、こんなに雨粒は踊らないはず。

 

 

 

 

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そんなことをふと思っているぼくの心を見透かしたのか、

「そういえば、姉ちゃんのクルマ、キレイに乗ってるよな」

「きのうあれからちょっと覗いたんだけれど、外はあたりまえにしても、中も掃除が行き届いてて感心だよ」

「そういえば母さんも、キレイ好きだったからなぁ」

あれから、めったに母のことを話さなかったオヤジだけれど、今日はなんだか違うみたいだ。 姉ちゃんが帰ってくるから嬉しいんだな、やっぱり。

そう、母の遺伝で、ぼくはキレイにすることに関しては人一倍、好きみたいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

・ナポレックス アーマオール プロテクタント A-3

 


 

オヤジとふたり、空港のターミナルビルで姉ちゃんたち一行の到着を待ち、しばらくすると、人がざわざわと沸いてきて、その人の群れのむこうにひときわ背の高い、あたまひとつは飛び出している、あきらかに日本人ではなさそうな人が見えてきた。

旦那さんはあの人かも・・・

となりに姉ちゃんがいるから、やっぱりそうだ。 ひさしぶりだ。 赤ちゃんを抱っこしている。 とても元気そうで、顔が輝いて見えた。

旦那さんは、背が高いのもそうだけれど、体のつくりもひとまわりは大きく、ひげ面でたくましい感じで、ぼくはちょっと近寄りがたい雰囲気。

クルマだけでなく、英語にも疎いぼくが、彼のそんな「なり」にちょっと気後れして話しかけられずにいると、すかさずオヤジが旦那さんにかけより・・・

 

 

 

 

『ひとすじあざやかに輝きおちる』 4 につづく

 

 

 

 

 

『ひとすじあざやかに輝きおちる』ショート・ストーリー

 

2台の古いクルマとそれをとりまく家族のストーリー。クルマ大好きな父、僕はクルマとメカには弱い。いまは亡き母。姉も遠い国にいる。ある晴れた暑い日に僕が久しぶりに実家に行くとせっせとジャグワーEタイプを磨く父がいて、そして物語が動き始める。

 

『ひとすじあざやかに輝きおちる』
『ひとすじあざやかに輝きおちる』2
『ひとすじあざやかに輝きおちる』3

 

ショート・ストーリー 『 ひとすじあざやかに輝きおちる 』 4
いかついガイジンは姉ちゃんの旦那さんだった! 慣れたオヤジはまるで洋画のワンシーンみたいにさっと挨拶をかわす。 青いひとみのまだちいさい姪を抱き、5人そろって家族みたいに雨上がりの駐車場へと向かった

 



 

 

 

 

 

 



 

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