g (ジー) その3 最終回

コラムと読みもの

人間の欲望にはキリがない。

重力さえもコントロールして、意のままにしようとする、近未来。

革命的な「宇宙ベッド」の登場から、「かるふわシート」が一般大衆に行き渡るのにそうそう時間はかからなかった。

麻薬にも似た、くせになる重力からの離脱。

その便利さは、やがて環境破壊をまねき、地球の危機へとつながって行く。

いよいよ最終回、その結末は・・・

 

■ 前回話

g (ジー) その2
近未来のお話 未発見の素粒子だった、重力子(グラビトン)の発見 その技術を応用した商品名「パーフェクト ・ スリーパー」で俗称は「 宇宙ベッド 」 まだまだ値段はお高いものだったけど、このテクノロジーも例外にもれず、コストダウンが進んできて

 

 

g (ジー) その3 最終回

最初のころは「宇宙ベッド」のイメージが強かったのか、快眠目的でベッド全体に敷き詰める使い方、または枕部分の一枚だけ購入、という人が多かったようだけれど、いつの時代も思いもよらない使い方をする人がいるもの。

発想の転換というヤツですね。

その正方形の「かるふわシート」を、はさみで足の形に切り取って、靴に忍ばせる使い方(インソールのように)・・・これは瞬く間に流行り、みんなが真似した。

でも、これはいい。

靴と足首あたりまでがとても軽く感じられ、歩くのがウキウキ楽しくなってくる。


さらに、悪さというか、ズルをする人が出てくるのは未来でもあまり変わらない。

この時代にも、20世紀からのオリンピックとやらの、スポーツのお祭りはまだ続いているけれど、短距離走の世界記録が、このシートの不正使用により簡単に塗り替えられてしまった。

俗に言う、

「靴ドーピング疑惑」


だれにも負けたくない、100分の1秒でもタイムを縮めたいのが、競技者の性だけど、瞬く間にこれが、スポーツ界に伝染していったのです。

そして乱用は、スポーツ界のみならず・・・各界に広がっていきました。

「かるふわシート」乱用の例をあげると、

・ギャンブルでのイカサマ

・マジシャンのネタの補助

・格闘技、特撮、モータースポーツ・・・などなどあげればきりがない。

しまいには、不正使用防止のために、あらゆる施設に反重力センサーが導入され、競技や賭けの不正に対しては、厳しいペナルティが課される始末となってしまいました。


そして一般の使用においても、事故が多発。

禁止事項であるシートを重ねての使用や、シートの改造などによるものがほとんど。
(重ねると更なる重力削減効果がある・・・らしい)

イカサマや怪我ぐらいならまだいいけれど、どうやら、「かるふわシート」を大量生産してしまったが故に、その反重力の物体が、地球上に大量にばらまかれ、地球の重力場に影響をおよぼしかねないレベル迄来てしまっている事が分かったのです。

それは、地球の自転や軌道を乱す可能性があると科学者は指摘し、そうなれば気候変動レベルではすまされず、人類の存続だけでなく、地球の生命全体の危機・・地球そのものの危機でありました。


そんな顛末で、ただちに反重力製品はすべてが製造中止となり、全世界において、使用も製造も全面禁止で、商品はすべて回収となりました。

地球上では、

「重力のズルは許されない」

という結論に達したのです。

ただし、地球の重力圏外ではその限りでなくて、宇宙においての使用は問題がないことがわかったのでせっかくのこの「反重力テクノロジー」を宇宙船に活用することになりました。

すべての回収された反重力製品から反重力子(アンチグラビトン)を回収し、リサイクルして、今度はそれを宇宙船船体の素材や、推進エンジンの素材などへ活用して、今現在よりも、さらにスピードの出せる宇宙船の開発が行われる事になったのです。

地上を速く駆けるのもいいけれど、いまは宇宙を速く駆けるべき。

この新しいテクノロジーが、さらなるスピードを人類にもたらして、私たちの旅する場所をさらにひろげてくれることを願いつつ。

 

おしまい

 

g (ジー)

g (ジー)
きょう9月6日は、小説家、SF作家として有名な、星 新一さんの誕生日なので、ぼくもちょっと影響されて、SFまがいのものを書いてみようかと思います。 それではどうぞ・・・ (オリジナルは2015年のものです) g (ジー) とある、近いような

g (ジー) その2

g (ジー) その2
近未来のお話 未発見の素粒子だった、重力子(グラビトン)の発見 その技術を応用した商品名「パーフェクト ・ スリーパー」で俗称は「 宇宙ベッド 」 まだまだ値段はお高いものだったけど、このテクノロジーも例外にもれず、コストダウンが進んできて

 

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